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第38話 不思議な夢

last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-25 12:05:03

不思議な夢を見ていた。

『ようやく会うことが出来たね』

「きみははだれ?」

 寝転んでいる僕の前に立って、ジッと僕を見つめる女の子。

『わたしは|今《・》|は《・》名前なんて無いよ』

「ここはどこなの?」

 辺りを見回しているけど、真っ白で何も見えない。

『ここはあなた……ロイドの夢の中よ』

「夢の中?」

『そう』

「何をしてるの? こんなところで……」

『あなたに会いに来たのよ』

「僕に?」

『うん』

 そう言うと女の子は僕に少しだけ近づいてくる。

『ロイド』

「なに?」

『忘れないでね』

「え?」

『あなたはこの世界に愛されているわ』

「そ、そうなの?」

『うん』

「でも僕、魔力もないし、魔法だって使えないよ?」

『大丈夫よ。あなたには|私《・》|達《・》が付いているから』

「そういう事?」

 僕が質問すると、女の子は静かに笑ってそのままスッと消えていく。

「え? ちょ、ちょっと待って!!」

 女の子へ向けて必死に手を伸ばすけど、届くことなく女の子は更に消えていく。

『忘れないでね、ロイド。私達はいつもあなたの側にいるから……』

 それだけを言い残し、僕の前から完全に消え去ってしまった。

 僕が目を覚ましたのは、あれから既に10日が過ぎてから。

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